2008年06月01日

本質と試行

淡き蝋燭の焔で描かれた魔法陣は映し出された

洞窟から持ち出された石に宿る光は強弱を繰り返し

レディの瞳は紅に染まった

「忌まわしき力、今は際限なき力よ」

「地を染め、嘗ての記憶を知ら示せ」

手から零れるものは何か

淡い血の様な、光
全てを終え、
呼び出される知識の整理を行うレディとその僕達を横目に
俺はついに呼びかけた

「作業中、申し訳ないが
 さっきのアレは…」

「忌まわしき子の力をお借りしたモノですわ、シドウ様」

レディは穢れたものでも触るかのように
今もまだ手を拭っている
俺はその血を嗅ぎ、ぽつりと呟く

「…金木犀?」

「シドウ様、臭い花の香など身が朽ちますわよ
 以ての他…全く、汚らわしいですわ」

なるほど
術者であるレディにとって
この匂いは穢れそのものを指す…ということか
納得をして取り出された今は唯の石碑に手をかける

「忌まわしき子って、どんな子だい?」

なんとなく、興味が沸いた

「!!シドウ様が関わるモノじゃありませんわ
 アレは…脆弱なる小悪魔憑きとでも言いましょう」

「けれど、その力でそれは動いているのだろう?」

それはそうですけれど…と口篭ったレディに
意地悪く笑みを零す

「異質な力故に、
 力に溺れる者と化すか
 力に奢り暴徒と化すか
 それとも―…別の」

ぱん、と小さな弾きを受けて口は塞がれた
顔を上げるとレディは怒ったようだった

「おやめくださいまし!シドウ様!
 邪推は邪推を呼び覚ましますわ
 ここは神聖なる古暦の書庫ですわ、
 魔窟とさせるわけにはいきませんの
 邪推されるのでございましたら、どうぞ外へ」

レディにつまみ出され、
しぶしぶ、部屋の外で俺は一人ごちた

「そう、邪険にすることはないだろうにな」

(幽閉されて育った俺と、
 外でしか生きれなかった子…

 それでも同じ道を辿っているとしたら
 そんな子に興味が沸いてもいいじゃないか)

頭をかいていると、背を叩かれた

「何、ぼ〜っとしてんの?シドウ」

「…百目鬼」

完膚なきまで女の変態に目を移して
話せる相手だと理解すれば、その耳元で唯告げる

「なぁ
 純粋な力は、純粋な心に宿るよな」

「ああ、そうだな」

「では、異質とは
 実は非常に高い純度を持っていたりしないでしょうか?」

「時にそうであり、間逆でもあるな」

「見極めるには」

ニッと口元が自然に釣りあがる

「「本質を、見ればいい?」」

「なんだ?お前…」

百目鬼が身を竦めて俺を見る
ああ、これは全く疑っておいでだ

「…大丈夫、まだ時には早いはずだしね?
 それに、力を見るという手段もあります」

「さっき見てきたって顔してるし」

聞かせろと近寄ってくる顔から離れながら
話交じりに教えた

「レディは、記憶の開放と秘術の解呪を扱っていたよ
 あれは―
 素体と繋がっている力だね
 どうやって出したのかは、知らないけど
 血が拭えきれずに困っておいでだったよ、レディは

 恐らく、素体には影響があるはずだよ
 たぶん、命令で
 封じの呪詛はかけてあるんじゃないかとは思うけど

 どんな影響が出ているかが鍵、かな?
 俺には凄く興味があるね―もしも、それを喰えるというなら

 …見に行きたいかも」

俺たちは妄想を膨らましながら館を離れた
posted by 瞳 at 07:05| 🌁| Comment(0) | 腕eading | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。