2008年07月06日

血生臭い鉛の証明

叔父上と会った時のことだ。
驚かれるかなとは思ったが
決意の表れをうやむやにするのは嫌だったから…
そのままで会ったら
やっぱりというか…
何というか、驚かれたというか。怒られたというか。

…ま、相変わらず…
強要はしない人、だけれどな(微笑)

可愛い姪っこと会うのは半年に一回。

養育権は持ったままだっつーのにこの少なさ。
泣けるなぁなんて思うが、自分で取り決めたことだし?
割と仕方ねぇ…かな。
あんの馬鹿に任せてっから大丈夫とは思うが…。
(でも今は、離れさせられてるんだっけ?)

でも、あの年の子供ってのは…
あっという間に成長しちまう。

目を離した間に一気に成長しちまうから
やっぱり、親なんて俺の柄ではねぇんだよなぁ…

また半年後、
どうかグレたりなんかしねぇでいてくれよ?

(閑話)

「…で。これは何だ?何でソンナトコに指輪ぁしてんだぁ?」

姪っ子の指を掴んだまま離さない。
年頃の女の子が、左薬指に指輪だぁ?
なまじあっていいことじゃねぇ。
しかも意味は解ってるんだろうなぁ…
血管きれそうな頭をワシャワシャしながら問い詰めると
姪っ子はニコリと笑顔で返した。

「…外れなくて」
「嘘言うな」
「やっぱりバレますか」
「たりめぇだ」

ククッと皮肉ったような笑いを浮かべる。
こういうところは、昔から変わってない。
だ…だが、何かこいつは。また…、
ありもしねぇ十字架を背負っているんじゃないかと
早鐘を打たれて苦虫を潰す。
当りそう、いや…こういう勘は、当るんだ。
それを…読み取っているように明るく笑い声を姪っ子は上げる。

「叔父上、どうして私の前だとやってくれないんです?」
「…何がだ」
「ポーカーフェイスですよ。それとも、やってるんですか?」
「あー…まぁ、オンオフの使い分けってやつだな」
「仕事上、そういうの上手そうですよね、叔父上
 今度教えてくださいよ、これは切実です」
「ま、いいがー………先に、これの説明してくれ、頼むから」

いまだ掴んだままの指へシグナルを送って注意を促す
姪っ子は折角上手く誘導したのにー…と、
何だか気恥ずかしそうに笑った。

(閑話)

学園生活ってぇのは、
俺らの時代はー…なんかそういう色恋とか友情とか
そんなもんは走馬灯のように過ぎ去っていっただけだったと思っていたが…ふぅん。
まぁ、確かに姪っ子は…変人に好かれやすいみてぇだからな。
俺が知ってるだけでも…うん、まぁそれはおいておこう。

「それで、何でその指輪なんだ?」
「!だって…これは息吹兄の…
 ううん、息吹兄との最後の接点だもん」
「…」
「息吹兄がくれた物じゃないけど
 息吹兄の形見何もないし、
 …息吹兄の意思は私が継ぐんだから指輪に託しちゃダメなの?」
「…」

息吹、お前…好かれすぎだろ。何したんだよ。
ちっとばかし嫉妬を抱きつつ、
つーか口調変わりすぎ…こいつ、自覚しろッ…―本当に。
ため息をひとつ吐き出して、お説教タイム★

「おめぇな、そこは結婚指輪とか婚約指輪とか
 運命の相手と永遠に結ばれる為に指輪する場所なんだっつの
 おめぇの恋人は、息吹かッ?」
「…」
「…
 …ぇっ?;」
「あ、いや…その発想は、新しいな?」
「…―あれだ、とりあえず。誤解するぞ〜、普通」

こいつは、本当に時々。
素なのか、嘘なのか、わからねぇ…いや、それが素なんだろうが。

早く取らせようと言い放ったが、姪っ子は頷いた。

「解ってはいるんだ…認められないことも。
 でも、叔父上に見せたように
 …私は一生を戦いに投じる身の上だ。
 だから、いつか恋人ができても、私は…戦を取ると思う」

その決意の表れだと―…この馬鹿は言った。
呆気にとられて、二回目のため息を吐く。
やれやれと、氷の溶けきったお冷を口へ運んで、苦笑する。

「つまりってぇと
 息吹とお前は一緒にいるんだぁな…
 ずっと、お前の心に生き続けて
 これから起こる事象とも、てめぇは歩いていける、と」

諮りをかけた。
この言葉の間逆を、俺は受け、姪っ子は言ったはずだと
その記憶に謀りをかけた。
姪っ子は静かに、少し困ったように微笑んで
オレンジジュースに手を伸ばす。
一口飲んでから、笑って言った。

「それを…―人を愛することで、進んでいけることだと
 私はあの学園で学べたんだと、思っています
 この、感情が愛情だと、恋愛感情だというなら…きっと」

そして、オレンジジュースに再び口を移す。
昔から同じもんしか注文しねぇくせに、
いっちょ前の口を叩くから、気持ち悪い。

(…いい、顔をするようになったな)

なんて、ふと思っちまったのは気のせいだ。
しかし、昔も今もこいつの頭の中は変ってねぇんだろうけど。
…俺に似て頑固だしなぁ…言ってもきかんだろう。
誰かが指輪を左薬指指定でプレゼントしねぇ限り
難しそうだな、これは。

「…ハーァ、まぁもう俺は知らん。
 恋人がほしいなら、なおさらしちゃいけねぇと思うが。」
「ははは、まぁすみません。誰かに似て頑固なんです、私。
 って…募集中みたいに言わないで下さい。
 今は、こう見えても失恋中なんですから
 デリケートですから癒してるところなんです。」
「…そんな奴は速攻でデートにはいかんと思う」
「き、気晴らしですよ!っていうか、どこからまたそんな情報っ」

舐めんな、糞餓鬼(笑)
情報網を甘く見られたら、この職業は続けられましぇん。
愉快に笑い声をあげて立ち上がる。
こんな喫茶店で時間を潰すだけじゃ勿体ねぇ。

「んじゃ、いくか」
「はいっ今日はどこいくんですか?」
「ちっと海と基地寄って燃料強奪して…
 ああ、あと珍しいもん見に行くか。
 …この時期なら来てるハズだからなぁ」
「生き物?」
「海のヒロシ」
「魚か…」
「…とは限らんぞ、貝とか…はたまた幽霊かも?」
「叔父上は霊感ないじゃないですか」
「HAHAHA!強い奴の近くにいたからうつったかもよ?」

ああ、他愛のない会話こそ、極楽だ。
これもまた、年に一回、
ひとつの生きがいになっちまってるのかもしれねぇな。
posted by 瞳 at 04:59| 🌁| Comment(0) | 楼bject reading | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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